イジワル専務の極上な愛し方
彼の言葉に、反射的に専務室のドアに目を向ける。祐一さんと会話をしていることに、気づかれたくない。

祐一さんに手を離してもらい、口を紡いだ。元カレなのに、触れられたことがイヤで仕方ない。

とっくに、彼への気持ちはなくなっていたんだと、思い知らされた。

「卑怯な条件を、出さないでください。私の連絡先と取引は、全然関係ないと思います」

こんな風に言わなければいけないことが、切なく思える。

祐一さんと付き合っていたときは、尊敬できる先輩で、楽しいことも辛いことも、共有し合えたはずなのに……。

すると、彼はニッとした。

「関係あるよ。俺は、彩奈と別れて後悔してたんだ。携帯の番号を変えただろ? 全然、連絡ができなくて困ってたんだ」

「え……?」

そんなことがあるはずない……。もっと仕事に打ち込みたいからと、突き放すように別れを告げたのは祐一さんのはず。

とても素直に信じられない彼の言葉に、私は疑いの眼差しを向けた。
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