イジワル専務の極上な愛し方
◇ ◇ ◇
服を着終えても、体の奥がまだ熱い……。あれから、どれくらい時間が経ったんだろう。
ベッドでまどろみながら、サイドテーブルに置いたスマホに手を伸ばしかけたとき、その手を翔太さんに掴まれた。
「時間は気にしなくていいだろ? 今夜から、帰らなくていいんだから」
後ろから抱きしめられたうえに耳元で囁かれて、落ち着きかけた鼓動がまた加速する。
「今、何時かなって思ったので……」
「十二時くらいじゃないか? そろそろ寝るか。明日も、“祐一さん”と打ち合わせなんだ」
「そ、そうなんですか……」
明日のスケジュールにあった“打ち合わせ”は、祐一さんのことだったんだ……。
相手が誰か伝えられていなくて、確認しなくちゃとは思っていたけれど、まさか故意に隠されていたとか?
それだとしたら、なんだか心苦しい。私は翔太さんに、とても不愉快な思いをさせているのかも。
「動揺する? 明日も、彼がこっちへ来るよ」
翔太さんは私の髪を撫でながら、試すように聞いてくる。私はゆっくりと彼のほうへ体を向け、その目を見つめた。
「いいえ。私、祐一さんには、まったく未練もないですから」