イジワル専務の極上な愛し方
その気持ちは、ちゃんと言っておきたい。すると、翔太さんは小さくため息をついた。

「彼は、同じようには思ってないだろうな。お前に、未練があるように見える」

「でも……、別れを告げたのは祐一さんなんです。それなのに、未練だなんて」

連絡先を変えたとは言われたけれど、番号を変えたのは、彼と別れて一年後。

別れてからそれまで、一度だってコンタクトがなかったのに、祐一さんが未練を持っているだなんて信じられない。

「彼から……? それなら、彩奈にとっては、不本意だったわけだ?」

「えっ? それは……」

たしかに、そのときはそうだったけれど、今は後悔も未練もない。

それに、翔太さんで心がいっぱいのは私には、祐一さんに限らず、他の男性が入り込む余地なんてないのに。

翔太さんは、もしかして私の想いを疑っている……?

「浅沼社長は、勢いある実業家だし、見た目も華やかで社交的だもんな。懐かしくなった?」

そう言われ、いたたまれなくなった私は、スッと起き上がった。
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