イジワル専務の極上な愛し方
すると、社長は大きくため息をついた。
「そこは、二人に確認をしてからですよ。ただ、プライベートなことなので、仕事とは関係ないんじゃないかと思いますがね」
「そんなことはないですよ。 僕は、この五年近く、彼女を忘れられなかったんです。彼女を取り戻せるなら、この取引は大きく譲歩します。もちろん、御社にもメリットが大きくなるような」
挑発的な口調に、それまで黙っていた翔太さんが低く太い声で聞いた。
「具体的には?」
「それは、今は申し上げられません。お二人の関係性がハッキリして、彼女を取り戻せるならお話します。もちろん、きちんと案は練ってありますので」
なんて汚いやり方なんだろう。この場で、なにか言う勇気が持てない自分が恥ずかしい。
ぎゅっと強く拳を握って、悔しさ噛み締めるだけだった。
「とりあえず、すぐにはご回答いただけないと思いますので、お考えになってご連絡ください。社長、専務、お時間をいただいてありがとうございました」
そう言った祐一さんは、スッと立ち上がる。社長も翔太さんも立ち上がることはしなかったけれど、私は秘書として彼を見送るために立ち上がった。
専務室を出て秘書室のドアを開けると、祐一さんは私に勝ち誇ったような笑みを向けた。
「彩奈、目を覚ませよ。真中専務は、お前を本気で相手にするわけがない。社交界の場で、彼の女性関係の派手さは噂になっていた」
「それくらい知っています。でも、私だけが知っている彼の素顔があるんです。では、失礼いたします」
半ば、彼を押し出すようにドアを閉めた。こんなビジネスの場で、祐一さんの行動が信じられない。
「そこは、二人に確認をしてからですよ。ただ、プライベートなことなので、仕事とは関係ないんじゃないかと思いますがね」
「そんなことはないですよ。 僕は、この五年近く、彼女を忘れられなかったんです。彼女を取り戻せるなら、この取引は大きく譲歩します。もちろん、御社にもメリットが大きくなるような」
挑発的な口調に、それまで黙っていた翔太さんが低く太い声で聞いた。
「具体的には?」
「それは、今は申し上げられません。お二人の関係性がハッキリして、彼女を取り戻せるならお話します。もちろん、きちんと案は練ってありますので」
なんて汚いやり方なんだろう。この場で、なにか言う勇気が持てない自分が恥ずかしい。
ぎゅっと強く拳を握って、悔しさ噛み締めるだけだった。
「とりあえず、すぐにはご回答いただけないと思いますので、お考えになってご連絡ください。社長、専務、お時間をいただいてありがとうございました」
そう言った祐一さんは、スッと立ち上がる。社長も翔太さんも立ち上がることはしなかったけれど、私は秘書として彼を見送るために立ち上がった。
専務室を出て秘書室のドアを開けると、祐一さんは私に勝ち誇ったような笑みを向けた。
「彩奈、目を覚ませよ。真中専務は、お前を本気で相手にするわけがない。社交界の場で、彼の女性関係の派手さは噂になっていた」
「それくらい知っています。でも、私だけが知っている彼の素顔があるんです。では、失礼いたします」
半ば、彼を押し出すようにドアを閉めた。こんなビジネスの場で、祐一さんの行動が信じられない。