イジワル専務の極上な愛し方
「でも、祐一さんからフッたんですよ?」

「別れを告げてから、後悔することは珍しくない」

吐き捨てるように言われ、私は口を紡いだ。それでも、なにもしないわけにはいかない。

そもそも、祐一さんの条件が私とやり直したいということなのだから。

「それなら、なおさら話をしないと……。祐一さんは、社長を同席させてまであんなことを言ったんです。絶対に本気ですよ」

訴えかけるように言うと、ネクタイを外した翔太さんが、それを乱暴に掛けた。

一瞬、ビクッとしてしまうほど。彼が苛立っているのは、シャツの第一ボタンを鬱陶しそうに外した仕草からも分かる。

ここまで、感情を見せられたのは初めてで困惑してしまった。

「本気だからだよ。今、彩奈が会いにいけば、彼になにをされるか分からないだろう?」

「さすがに……。それはないと思います。祐一さんだって、失うものが多すぎますし」

もし私が、ことを荒立てば祐一さんの名声に傷がつく。自分の力でのし上がった人なのだから、そんなリスクを冒すとは思えない。

すると、翔太さんは冷ややかな目をして、じりじりと私を壁際まで追い詰めた。

「彩奈は本当、人がいいよな」

「ど、どういうことですか……?」
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