イジワル専務の極上な愛し方
試されます
真剣な眼差しを向けられ、胸の高鳴りを感じる。翔太さんは、そこまで考えてくれていたの……?

「お前の気持ちをたしかめるより先に、そう言うのは違うのかもしれない。だけど、俺は彩奈に対して、それだけ本気だから」

「翔太さん……」

嬉しさで、言葉が続かない。彼のそれだけ強い気持ちは、私の心を大きく揺さぶっていた。

翔太さんの想いに応えなきゃ……と、口を開きかけたとき、ドアがノックをされ一気に鼓動が速まる。

なぜなら、店員さんの「真中社長がお見えです」との声が聞こえたから。

翔太さんとドアに向き直り、室内に入ってきた社長に深々と頭を下げる。

ドアが閉まり三人になった部屋は、途端に重苦しい空気に包まれた。

「頭を上げなさい。立ち話で、済ませられるものではないだろう」

そして社長から、「座りなさい」と言われ、私たちはテーブルに、社長と向かい合うように座った。

けっして、社長の表情は穏やかなものではないけれど、それほど険しい感じでもない。

ただジッと見据えられていて、視線の鋭さにいたたまれなくなりそうだった。

「親父、俺は彩奈と結婚をしたいと思っている。だから、彼女と別れる気はない」
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