イジワル専務の極上な愛し方
トーストとヨーグルトという簡単な朝食、そして掃除と洗濯を済ませると、手持ち無沙汰になってしまった。

翔太さんはすでに朝食は済ませたらしく、コーヒーを持って書斎へ籠っている。

ソファに座り、テレビでもつけてみようか。そう思ったとき、スマホが鳴った。

かけてきたのは祐一さんで、思わず廊下に目を向けてしまう。

翔太さんの姿がないことを確認すると、電話を取った。

「もしもし……」

スマホを握る手が、汗ばんできそう。それくらい、構えてしまっていた。

《もしもし、彩奈。今日は、休み?》

「はい……。なにか、ご用ですか?」

声がこわばる私と対照的に、祐一さんはいつもどおり余裕がある。

《冷たい言い方だな。答えは出たか、それを確認しようと思ったんだよ》

クックと笑う祐一さんの口調は、どこか挑発的で不快になる。

仕事の話のはずなのに、会社ではなく私個人に連絡をするなんて。

祐一さんは、こんなに卑怯な人だったっけ?

「祐一さん、本当は分かっているんですよね。私が受け入れる気なんてないと。祐一さんの条件を、呑むつもりはありませんから」
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