イジワル専務の極上な愛し方
翔太さんの言葉には自信が溢れていて、社長はそれ以上の苦言は言わず、「分かった」とだけ応えてくれた。

その後、社長室を出て専務室へ戻ると、翔太さんにすぐに声をかけた。

デスクに座られる前に聞かないと、お仕事を始められちゃう。

「なにか、見込みがあるんですか? 社長に自信たっぷりに話されてましたけど」

すると、笑みを見せた翔太さんが、なにも言わずにデスクに着こうとする。

その瞬間、思わず彼の腕を掴んでいた。

「翔太さん、はぐらかさないでください。どうして、私には話してくれないんですか?」

こんなときに隠しごとなんておかしい。切ない気持ちも込み上げながら、でも少しの苛立ちも感じて言った。

そんな私に、翔太さんはどこか驚いた顔をしている。そして、私に向き直ってくれた。

「ごめん。そんなに気にしてるとは思わなかった」

「気にしますよ。私たち、二人の問題でもあるのに……」

もどかしい思いをぶつけると、彼はすまなさそうに微笑んだ。

「そうだよな。分かってる。分かってるんだけど」

言葉を詰まらせる翔太さんに、私は怪訝な顔を向ける。

「どうか、されたんですか……?」

「俺の力で、解決できないかなと思ったんだ。これは、会社のためでもあると同時に、彩奈のこともあるだろう?」

「だったら、なおのこと私にだって責任があります。私にも、相談してほしいです」

そう訴えると、翔太さんは優しく私の頬に触れて静かに言った。

「お前を、俺だけのものにするためでもあるから。仕事のことは、俺に任せてほしい」

「翔太さん、でも……」

ドキドキする……。彼のいつになく強い眼差しに、胸が高鳴っていた。
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