生真面目先生のちょっと大人の恋の話

将人は食べながら、私に視線を合わせる。

「…その後、私はこのカレーをかき混ぜながら泣いたの。だからこのカレーには私の涙も入ってしまったの…。」

すると将人は安心したような表情を浮かべた。

「俺はこんな風に朝弥が考えている事をもっともっと知りたい。態度としては、朝弥はきちんと俺にぶつけてくれる。でも話してくれないと、それを誤解して受け止めてしまう事もあるんじゃないかと思うから…。」

－自分に余裕がないから…、自分の思いに捕らわれちゃうから、相手の優しい意図に気が付かないんですよね。－

前に横田先生が言っていた言葉の意味が分かったような気がする。

「さぁ、学校へ行く準備をしよう。福田先生と横田先生のいる保健室には心して入らないとな。」

カレーを平らげて、将人は立ち上がった。

「昨晩は体力を使ったから、お腹が空いていたんだ。」

私はその意味が分かって、将人をそっとにらんだ。