生真面目先生のちょっと大人の恋の話
「そう言えば、こないだのウォーキング大会には宏弥は行けなかったんだって？」

楽しそうに福田先生は言った。

「そうなんですよ。珍しく前日に発熱したんですよ。あの宏弥が。」

私は目を丸くして言う。

宏弥と福田先生は、高校の同級生だったらしい。

そんな偶然に、世間は狭いと感じた。

「消防士がそんな事で務まるのか？」

福田先生はチラリと横田先生を見てから、皮肉っぽく言う。

「まあ、今度会った時にでもからかってやって下さい。」

私の言葉に福田先生は笑うと、もう一度私の足を触れる。

「宏弥が居なかったのに、すぐに患部を冷やしたのは正解だったな。」

福田先生はそう言うと、私の足を下ろした。

やっぱり吉永先生のあの時の処置は間違いなかったようだ。

私一人なら、きっとそのまま急いで帰るだけだっただろう。

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