生真面目先生のちょっと大人の恋の話
私はその文章をしばらく目で追う。

「う~ん、完璧です。修正するところはありませんよ。」

静かな状態の保健室に私の声が響く。

養護教諭二人は集中して、作業をこなしていた。

すると横田先生は伸びをした。

「毎年の事ですが、新学期の前は忙しいですね。」

「ああ、これだけは慣れないな。どうしても何か忘れているような気がしてならない。」

今度は福田先生も伸びをした。

「そろそろ中央職員室に寄ってから、帰りますね。」

このまま居ると、かえって二人の邪魔になってしまうような気がして、私は言った。

「ありがとう、一ノ瀬先生。」

「また新学期も保健室に寄って下さいね。福田先生と居ると怒られてばかりだから、私を慰めに来て下さいね。」

横田先生はちらりと福田先生を見ながら、手を振る。

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