生真面目先生のちょっと大人の恋の話
「昨日の帰りの男は彼氏じゃないのか。」

聞きにくいみたいで、少し目線と声を落とした吉永先生。

「えっ?誰の事だろう。」

私は吉永先生をまじまじと見つめた。

「…短髪の、随分ガタイのいい男だった。楽しそうに車に乗り込んでいたじゃないか。」

ボソボソと吉永先生はつぶやく。

「あっ、ああ、宏弥は…。」

そう言いかけて、私は笑う。

「彼との関係は…、彼は私に一番近い人です。」

吉永先生を少し困らせてやりたくて、私は思わず思わせぶりな言い方をした。

すると私とつないでいる吉永先生の手に力が入ったように感じた。

これで吉永先生が私にちょっかいを掛けなくなるかもしれない。

宏弥を盾にしてしまおう。

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