生真面目先生のちょっと大人の恋の話
「やっぱり先生って奴は、頭が固いのかもな。」

「あなただって先生でしょう?」

「俺は先生としてはまだスタートを切ったばかりだからな。」

ああ言えばこういう吉永先生。

何だか無性に腹が立つ。

でも吉永先生は調子が戻って来たようで、楽しそうに見える。

「じゃあ、どうして吉永先生はこの学校へ来たのですか?」

私は勢いのまま聞いた。

福田先生が言っていた事を思い出す。

-吉永先生って、ずっと大学でスポーツ科学を研究していたらしい。どうしてそんな人がここで教師をする気になったんだろう。-

「ずっと大学で研究していたんじゃないんですか?」

すると一瞬吉永先生は目を伏せた。

「人生、いろいろあるさ。俺はここで頑張ろうと思っている。」

吉永先生の笑みの中に、陰を見たような気がした。

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