生真面目先生のちょっと大人の恋の話
何だか私はその事に触れてはいけないような気がして、口を閉じた。

まだまだ私は吉永先生の事を知らない。

ふとそんな事を思った。

「さっ、ゆっくりと案内してもらおうか。」

私達は私が受け持つクラスの教室に入った。

黒板を背にして教壇に立つ私。

生徒が目の前に居なくても、身が引き締まる。

「やっぱり似合っているな。」

一番前の席に座った吉永先生は私を見上げる。

「丸8年ここで教えて来たんですもの。」

私は胸を張る。

「正直、教師という職業を私自身が選択するとは思わなかったし、こんなに長続きするとは思わなかった。」

そんな私を、不思議そうに吉永先生は見る。

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