生真面目先生のちょっと大人の恋の話
「いいえ、一緒にゴールしましょう。」

その人は優しく言った。

「…ありがとうございます。」

もう今の私にはそれだけを言うのが精一杯だった。

「ちゃんと給水をしていましたか?脱水状態になると、筋肉に異常が出る事もあるんですよ。」

その人は優しく私に話しかけてくれる。

その事に気が紛れて、気分がほぐれる。

そう言えば、いつもほど汗が出ていないような気がする。

「給水はいつもより少なかったかもしれません。もう何度も参加はしているので、分かっていたつもりだったんですけど。」

他の人に話しかけられた事によって、少し私に精神的余裕が戻って来た。

「そうですか。俺はこの大会は初めてです。」

その人がにっこりと笑ったような気がした。

そんな話をしているうちに何とかゴールした。

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