生真面目先生のちょっと大人の恋の話
私は表情が止まる。

「朝弥、まさか…。」

「すいません。」

私は吉永先生から離れると、頭を下げる事しか出来ない。

「朝弥は俺の事には全く興味がないみたいだな。」

吉永先生はくすくす笑う。

「だって同僚の先生の下の名前なんて気にした事がなかったから…。」

私は吉永先生から視線を外すとうなだれながら、初日の挨拶の時を思い出そうとしていたが…。

そんな必死の私の様子を、吉永先生が楽しそうに見ている事に冷や汗が出る。

すると吉永先生は私の手を取って歩き出した。

「こんな所で他人の目を集める必要はない。」

その大きい身体からその手も当然大きい。

その大きな手にすっぽりと包まれてしまった私の手。

男らしいごつごつした手は、あまり器用さは感じない。

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