生真面目先生のちょっと大人の恋の話
この手に足の処置をしてもらったんだな。

あの時はタオルに包んだ氷を持っていた。

でも今は、私の手が触れている。

私はそんな所に意識が動いていた。

「朝弥。」

その手の主は優しく私の名前を呼ぶ。

はて…、私はいつからそう呼ばれているんだっけ?

私の頭の中でいろいろな事がぐるぐる回っている。

「今度は何を考えているんだ?」

私の表情がくるくる変わる事に、吉永先生は気が付いたんだろう。

「質問をしていいですか?」

私は吉永先生を伺う。

「俺の名前の事か?降参ってところか。」

私は首を横に振る。

< 80 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop