生真面目先生のちょっと大人の恋の話
「質問はそれだけではありません。私はいつから吉永先生に名前で呼ばれているんでしたっけ?」

吉永先生は意外そうな顔をして、口を開けかけた。

それを私が制する。

「最後の質問は、その二つに答えてもらってから改めて質問して良いですか?」

「“一ノ瀬先生”は、生徒でもない俺に3つも質問するんだな。」

吉永先生は面白そうに首をかしげる。

「質問をするのも、先生の仕事ですから。」

私は答えを待つように、繋がれている手を少し引っ張る。

そろそろ私の家が見えてきた。

「まずは初めの質問の答え。俺は将軍の将に人と書いて、“まさと”と言う。」

私はコクリとうなずく。

「次の質問は…、朝弥には記憶がないかもしれないが、学校の初日の別れ際に初めてそう呼んだ。抱きしめてキスをしたあの日だ。」

私は吉永先生の思いがけないそんな言葉に赤くなる。

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