生真面目先生のちょっと大人の恋の話
「全く反応がないから、がっかりしたんだよな。今そんな質問をされたって事は、全く気が付いていなかったって事だよな。」

今度は違う意味合いを含めて、私はコクリとうなずく。

「最後の質問はなんだ?」

私は吉永先生の顔をチラリと見て一瞬空を見上げると、意を決したいように口を開く。

「わっ、私の事を更に知って、気持ちは変わっていないですか?」

声がうわずってしまった事で、私の動揺は伝わってしまっただろうか。

「私は真面目過ぎて、きっと面白くない人間です。それに人の気持ちに鈍感なようです。だから…。」

うつむいてしまった私の頭の上に声が落ちてくる。

「朝弥、一体何を言っているんだ?全く分かっていないようだな。」

頭を恐る恐る上げた私に、吉永先生の笑顔が見える。

「今日一日でもっとお前の事が欲しくなった。俺のどんな姿を見たって、素直に…、時には怒ったり笑ったりして、受け止めてくれたじゃないか。」

それはきっと飾らない私の自然な姿。
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