生真面目先生のちょっと大人の恋の話
「そんな吉永先生を一ノ瀬先生は置いてきちゃったんですね。」

横田先生は笑いが抑えられないようだ。

「教師として、すぐに信用する訳にはいかなかったんです。」

私はムキになって言う。

「俺もこのチャンスを逃すまいと、家まで送らせろとか連絡先を教えろとか、今思うと結構無茶な事を言ったから…。」

私は将人の照れくさそうな顔を見る。

あの時の将人の本心を聞いただけでも、本当にここで再会出来て良かった。

私は素直にそう思った。

将人の人柄が垣間見える。

「この学校に来ることが決まってから、身の回りの変化が激し過ぎる。」

話を少し逸らそうとしたのか、将人はそんな事を言った。

「研究所の片づけやデータの引継ぎなんかの残務処理、新しい家や学校、教師としての準備。目が回るような日々に、あの日はやっと息抜きで参加したウォーキング大会だったんだ。」

私の知らない話が将人から語られるのは新鮮だ。

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