生真面目先生のちょっと大人の恋の話
そこにひょっこりと顔を出したのは宏弥。

私達はその声の方に同時に振り返る。

「まだ二人で住むなんて早すぎるだろう。俺だって賛成出来ないな。」

当然という顔をする宏弥。

「宏弥が入ると話がややこしくなる。」

「将人こそ図々しいだろう。」

もう既にお互いの呼び方まで変わっている。

喧嘩するほど仲が良い…、というのはこの二人のための言葉なのかもしれない。

いつもの事ながら、私は置いてきぼりだ。

「はいはい、二人ともうるさい。」

私はまるで生徒に指示しているような気分になる。

「朝弥、俺にも夕飯食べさせてくれ。」

宏弥が話を逸らすように、私に催促する。

「今から食べる準備するわ。」

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