憧れのアナタと大嫌いなアイツ
「花乃の親父さんもお袋さんも面白いな」
思い出し笑いをしながらどんどん饒舌になる柊
それをどこか遠くに聞いていた・・・
「花流が足踏みして待ってるから
早く結婚して下さいって」
麻美と花流はいつから付き合ってるんだろう
昨日待っててくれたのは花流とデートのついで?
恋バナが出来るって喜んでくれたのは
私に合わせて花流とのことを秘密にしてたから?
「それに・・・花乃ん家
【愛実花】だったんだってな
俺、全然知らなかった」
眠れない夜に花流に添い寝してもらったことも本当は嫌だったんじゃないかしら・・・
「華道家に嫁ぐ花屋の娘って
運命的だよな」
え?じゃあ、明石課長のことは?
あ、あれは憧れってことか・・・
いや・・・私に合わせてくれただけ?
いきなり過ぎて消化出来ない思いが溢れてくる
「おい!聞いてるか?」
肩を持って揺らされて
ハッとする
「あ、ごめん、なんだっけ」
柊の言葉が頭に入ってこない
「大丈夫か?」
「あ、うん」
曖昧な返事をしたものの
コンビニに行った麻美が早く帰って来ないかと
向かいの部屋へ神経が集中する
そんな私の変化に気づく柊は
「花流が帰ってきたら
あの友達と話すか?」
「うん」
私の心を読むエスパーだ