憧れのアナタと大嫌いなアイツ



吸い寄せられるように近づくと暫し見惚れる


自分が手掛ける可愛い花のアレンジとは違って迫ってくる迫力がある


【長谷川 柊】


筆文字の名前も作品に負けていない気がするから不思議


長谷川流の家元かもしれないと勝手に解釈して回れない裏側以外左右も移動しながら念入りにチェックする

大ぶりの梅の木も周りを固める花達も一分の隙も感じない程完成されていて胸が熱くなる


「お気に召して頂けましたか?」


夢中になる私に掛けられた可愛らしい声にハッとして振り返ると艶やかな着物を身にまとった綺麗な女性が立っていた


「あ、あの・・・とても素敵で」


どう答えれば褒め言葉になるのか考えるのに急に話しかけられたことで頭がフリーズした


「お若い方に見て貰えて良かったわ」


ーーえ?お若い?あなたも充分若いでしょーー
なんて突っ込みは飲み込んで麻美と愛想笑いを浮かべると

ここで漸く手荷物の重みを感じて退散することにした




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