憧れのアナタと大嫌いなアイツ
・・・


週明けの月曜日



午前中デスクにかじりついて企画書を仕上げた私はプリントアウトした渾身の作品をファイルへ綴じた


「できた」


小さく呟いて背筋を伸ばすと藤堂室長のデスクへ向かう


「出来たか」


企画書を受け取ると顎に手を当てながら目を通す室長

自信たっぷりだったはずなのにこの時ばかりは審判を受ける罪人のような気分になる


「これ、良いよ」


ゆっくりデスク脇に立つ私に視線が向くと少し口角を上げて笑った

ーー素敵ーー

藤堂室長の周りにキラキラが降るように少しの笑顔で華やぐ空気

アイドル並みに煌めいて見えるのも脇目も振らずに憧れ続けているせいなのかも

妄想の中の藤堂室長はいつも私に甘く微笑んでくれて・・・


「・・・さん、小柳さん」


鳩も蝶も飛んでいるお花畑から急に呼び戻され

「は、はい」

「大丈夫か?」

「はい、大丈夫です」

一緒にお花畑で笑ってましたとも言えず焦って答える私を少し訝しげに見る藤堂室長

「明日のミーティング楽しみにしてるから」

そう言ってまたパソコンへと向き直った藤堂室長にぺこりと頭を下げて自分のデスクへと戻った
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