憧れのアナタと大嫌いなアイツ
今月の企画ミーティングが企画室上げての大イベントと銘打って盛り上がっているのには理由がある

ウェンディの新しい結婚式場
【ソルテ】
のお披露目企画となるからだ

ポルトガル語で“幸運”を意味する結婚式場は
一日一組限定で[おもてなし]を全面に表現するスタイルを取る

こだわりとワンランク上のプランのみを扱うという視点から構成されるために審査基準が高く、1つでも企画が通ったのはレア・・・

現時点で決定している企画の殆どは藤堂室長のプランだ


私の打ち出した企画の骨組みに藤堂室長と肉付けしながら形にしていく

「小柳さん行こう」

そう笑顔を向けられるだけで早くなる鼓動を感じる

「は、はい」

少し大きめのバッグを肩から下げると藤堂室長の斜め後ろの位置をキープした


「長谷川流って確か息子さんに代変わりしたと聞いたけど・・・」

片手でハンドルを操作しながら、もう片方の手が顎に触れている

その何気ない仕草にもキュンとする胸を落ち着かせながら

「私が知り得た情報では、現家元は24歳です」

勿体ぶった言い方をしたけれど、私の情報源なんて両親以外居ない

「新進気鋭の氷笑王子なんて言われているそうです」

「そんな冷たい感じなのか・・・」

まだ顎から動かない手に見惚れている間にソルテに到着した



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