憧れのアナタと大嫌いなアイツ
「素敵」
ソルテの正面から入ると巨大なステンドグラスが目に飛び込んできた
「だよな」
「はい」
しばらくステンドグラスに目を奪われていたけれど右手の温かさに我に返った
「・・・」
俯いた視線の先には繋がれたままの手
蘇る嬉しい気持ちと外すタイミングを考える切ない気持ちとが混ざり合う
でも・・・
せっかく繋いで貰ったのにこちらから外すなんて出来ないなーと都合よく答えを出すと
「花乃ちゃんは面白い」
首を傾けた室長のドアップが間近にあって
頭上から蒸気が噴出してるみたいに
カーッと顔中に熱が集まった
「百面相してた」
拳を口元に当ててクスクスと笑う室長の
キラースマイルに心臓が悲鳴をあげた
「得意先の娘さんが部下になったから、俺もどう扱っていいのか悩んでさ・・・とりあえずの線引きから入ろうとして呼び名を変えたんだけど、ま、入社して3年経ったから、たまにはいいよな」
まさかここで欲しかった答えが貰えると思わなくて返事もせずに室長の顔を見上げる
あくまでも仕事の為の線引きにニヤケそうになる頰を必死で我慢する
嬉しい・・・
嬉しすぎる・・・
頭の中にお花畑が広がった