憧れのアナタと大嫌いなアイツ
「一つ質問していいか?」
「はい」
「俺と話す時・・・いや、男性と話をする時に身構えてる気がするのは気のせいか?」
「・・・」
「答え難いなら無理しなくていい」
スッと細められた目から視線を離せず意図せず肩に力が入る
「あの・・・」
「ん?」
「中学から大学まで女子校だったので、慣れないというか緊張するというか・・・」
本当の理由は話せないけれど
はぐらかす為の答えになっているかが不安で語尾が下がる
「あ、そうかそうだったな」
「すみません」
「いや、謝ることはないよ、今時珍しいタイプだと思ってさ・・・本当花乃ちゃんって妹みたいだな」
「・・・」
ーー妹ーー
そんなもんだと頭の中で理解していたけれど
いざ言葉にされると落ち込む
「さて、仕事するか」
スッと外された手からいとも簡単に熱が逃げた
「・・・はい」
九割五分出来上がっている会場に移動すると
ファイルを捲る指を目で追いながら写真を撮る
取締り役会議でプレゼンを成功させるまでの室長と二人きりのチームの雰囲気を壊さないように
心の中に喝を入れていつもの笑顔を作った