憧れのアナタと大嫌いなアイツ
積み上がる壁
幸運が訪れたのは藤堂室長と企画書を完成させた2週間後だった
「小柳さんの企画が通った」
企画室ミーティングが始まってすぐ藤堂室長から発表があると
「「「おめでとう」」」
聞こえる拍手の中で複雑な思いが渦巻いていた
だって・・・
企画書に肉付けしながら近付く度に微笑んでくれる藤堂室長は壁を作るかのように
「妹みたいだ」を連呼した
本当なら嬉しいはずの二人きりの時間が二人の距離を決定付ける機会になったのだから
『お似合いですね』
なんて言われようものなら
『兄妹でもおかしくないよな』
キラースマイルで頭ポンポン付き
からかわれているのか・・・
ハッキリとした拒絶か・・・
この3週間で失恋気分を味わっている私
「小柳さん、長谷川流の手土産よろしくな」
藤堂室長に微笑まれる度にチクリと痛む胸
誤魔化すようにいつもの笑顔を向けると
メッセージアプリで麻美にヘルプを出した