憧れのアナタと大嫌いなアイツ
「室長、おはようございます」
綺麗に整頓されたデスクの上にコトンとカップを置くと
「おはよう、いつもありがとう」
身震いするほどのテノールが耳から飛び込んできた
トレーを胸に抱えてぺこりと頭を下げると緩んだ頰を誤魔化しながら給湯室へと戻った
ちょうどタイミング良く戻った麻美としばらくニヤニヤタイム
「今日も藤堂室長ステキだった」
そう口から呟きながら
先程の笑顔を思い出すと頰が赤くなる
「明石課長も負けてないわよ」
隣に立つ麻美も同じ表情をしている
憧れの上司のお茶汲みの為に朝から頑張っている2人
中学校から大学までエスカレーター式の女学院で同級生だった麻美とはかれこれ13年の付き合いになる
♪〜♪〜♪
始業10分前のメロディで現実に引き戻されると給湯室外にある大きな鏡で全身をチェックしてフロアへと急いだ