憧れのアナタと大嫌いなアイツ
「付き合ってないわよ」
「へ?」
「だから、私と鷹也は付き合ってない」
「・・・え、あの、え?」
藤堂室長と泉さんの顔を交互に見ながら頭の中を整理しようとするけれど
二日酔いの頭が悪いのか・・・
もともとの頭が悪いのか・・・
泉さんの発した言葉が頭の中に入ってこない
付き合ってないけど腕を組んで歩いて
それに朝からマンションにベルも鳴らさず入って来る関係って・・・
「ほら、琴音が肝心なところを言わないから益々混乱してるじゃないか」
眉間に皺を寄せて考え込む私の頭にポンと手を置いた藤堂室長は
「琴音とは従兄妹同士なんだ」
謎解きのような答えをくれた
「い、とこ?」
「あぁそうだ、琴音の父親とうちの母親が兄妹だから苗字は違うけどな」
「そう、なんですね」
一気に肩の力が抜けた
「だから、ここへも勝手に入ってくる」
「なによ〜鷹也そんな言い方ないじゃない」
「本当のことだろ」
「私が近くに居るから女子社員避けになってるんでしょ!!」
「それは助かってる」
藤堂室長と泉さんが付き合ってるという噂の真相をこんなことで知るとは思わなかった