憧れのアナタと大嫌いなアイツ
一時間程のランチを終えると藤堂室長から社用車の中で長谷川流への最終チェックを受けた
「さぁ、行くか」
「はい」
約束の10分前に長谷川流へ到着した
ーー時代劇風ーー
大きな木の門に手入れの行き届いた垣
駐車場から建物が見えないことから
庭の広さが伺える
「実は俺もここ初めて」
大きな門を見上げながら呟く藤堂室長
だから・・・
緊張は同じだよって笑顔を見せてくれる
色んな種類の笑顔を見てきたけれど
今日の笑顔が一番心に響いた
ーー大丈夫ーー
何度も頭の中で呟いてチャイムを押す
しばらくするとお弟子さんらしき女性が現れ門の中へ
シンとした屋敷内に入ると玄関の作品に目を奪われた
写真を撮りたくてスマホをバックから取り出そうとした手を藤堂室長に制された
私ったら迂闊にも程がある・・・
恥ずかしい気分が降ってきて顔があげられない
長い廊下を歩きながら背筋を伸ばして気持ちを切り替えた