憧れのアナタと大嫌いなアイツ
* * * * * *
* * *
*
ーー7年前ーー
* * *
「なぁ、花乃。今年も来るだろ?」
「もちろん、今年も行くよ」
秋の一大イベントである学園祭に花流がボーカルを担当するバンドが出演する
それにおいでと誘われたのは2回目
男女共学の桐葉第一学園へ通う弟の花流
柔らかな空気を纏う花流はもの凄くモテる
去年一年生で登場した時
詰め掛けた女の子達の中にはステージへ上がろうとする子や泣き出す子まで続出して大騒ぎになった
お約束のように自宅前では女の子達が花流を待ち伏せたりプレゼントが置かれていたり
余りに人が溢れた日に近所の人にパトカーを呼ばれたこともある
もちろん私が通う誠愛女学院の生徒にも花流の噂は流れてきている
その殆どが芸能人並の憧れで溢れていて
一年経った今でもそれは変わらず続いている
「今年は大丈夫なの?」
「あぁ、学園側が警備を強化するって言ってた」
たかだか高校生の為に警備員を雇うなんて
と言い出しそうな声を口を結んで危険回避だろうと飲み込んだ
「花乃の席は押さえてるから」
ほら、とテーブルの上に置かれた2枚のチケット
「あ、うん。ありがとう」
「どうせ麻美さんと来るだろ」
「うん」
「可愛くして来いよ」
頭をクシャクシャっと撫でると
練習!と甘く微笑んで出掛けて行った
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ーー7年前ーー
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「なぁ、花乃。今年も来るだろ?」
「もちろん、今年も行くよ」
秋の一大イベントである学園祭に花流がボーカルを担当するバンドが出演する
それにおいでと誘われたのは2回目
男女共学の桐葉第一学園へ通う弟の花流
柔らかな空気を纏う花流はもの凄くモテる
去年一年生で登場した時
詰め掛けた女の子達の中にはステージへ上がろうとする子や泣き出す子まで続出して大騒ぎになった
お約束のように自宅前では女の子達が花流を待ち伏せたりプレゼントが置かれていたり
余りに人が溢れた日に近所の人にパトカーを呼ばれたこともある
もちろん私が通う誠愛女学院の生徒にも花流の噂は流れてきている
その殆どが芸能人並の憧れで溢れていて
一年経った今でもそれは変わらず続いている
「今年は大丈夫なの?」
「あぁ、学園側が警備を強化するって言ってた」
たかだか高校生の為に警備員を雇うなんて
と言い出しそうな声を口を結んで危険回避だろうと飲み込んだ
「花乃の席は押さえてるから」
ほら、とテーブルの上に置かれた2枚のチケット
「あ、うん。ありがとう」
「どうせ麻美さんと来るだろ」
「うん」
「可愛くして来いよ」
頭をクシャクシャっと撫でると
練習!と甘く微笑んで出掛けて行った