憧れのアナタと大嫌いなアイツ
「うそでしょ・・・?」
呆然と立ち尽くした隣で
ククっと喉を鳴らして笑った麻美は
「テーブル席を確保しておいてね」
片目を閉じると人混みの中へ消えた
タイミングよく二人席が空いたから
座って待っていようと腰掛けると
校舎側で歓声が上がった
ーーもしかして花流?ーー
期待も込めて声のする方を見ていると
制服の男子が3人女の子に取り囲まれていた
ーー違ったーー
黒髪が3人見えた時点で花流の可能性はなくなった
カラーリングしている訳ではなくて
子供の頃から姉弟で色素が薄い
かく言う私も誠愛の入試で髪色について尋ねられたことがある
人工的なものじゃないから問題にもならなかったけれど
高等部に進級するまではカラーリングは禁止との校則がある為だったらしい
花流じゃないと分かった途端に興味も無くなった3人組だったのに
「ねぇ彼女一人?」
軽い声を掛けられて顔を上げると
テーブル前に立つ3人とそれを囲むように並ぶ女の子達が目に飛びこんできた
「・・・っ」
スマホを操作していて気付かなかった自分にため息・・・そして
「いいえ」
「なに?友達?それともカレシ?」
明らかな反応薄のこちらのことなんて御構い無しに一人が目の前の椅子に座った