憧れのアナタと大嫌いなアイツ

「えーーーーー」

パパが到着したと聞いて外に出てみると
スッカリ空は夕焼けに染まっていて

「花流の出番は?」

慌てて花流を見ると

「無事終わった」

気にするなと頭を撫でる

「屋台は?」

「ごめーん食べちゃった」

ペロッと舌を出した麻美

「ハンドメイドのアクセサリーコーナーは?」

車窓から流れる学園祭の片付けも終わった後の学校を横目に見ながら

いったいどのくらい眠っていたのか
恨めしい気分に頭を抱えた

となりに座った麻美がククッと何度も喉を鳴らして笑って

ネコ型ロボットみたいに
お揃いのバッグから取り出したのは

「ほら」

小さなパッケージに入ったアクセサリー

それをシートの間に並べた

「キャー、麻美買ってくれたの?」

嫌な記憶を瞬時に消してくれるキラキラした小物達

「花乃、好きなの取っていいよ」

いつもより優しい麻美

信号待ちで振り返った運転席のパパと助手席の花流も堪え切れない風に笑っている

「じゃあ〜」

思いつく限りのアクセサリーを手に取ると

「どんだけー」と
人差し指を振った麻美が

「良いよ」
と、とびきりの笑顔を見せた


< 55 / 111 >

この作品をシェア

pagetop