憧れのアナタと大嫌いなアイツ
「花乃が気がついてないだけじゃないのか?」
「え?」
そんなこと・・・ないと記憶を辿るけれど
やっぱりなくて思いついたように花流を見ると肩を震わせて笑っていた
「なに?」
「どうせ花乃のことだから声かけられたことなかったかな〜って思い巡らしてたんだろ?」
「そうよ、でもなかったわ」
「気づいてないなら記憶もないだろ」
そう言ってお腹を押さえて笑う
「でもな、アイツ・・・」
そう言って急に真顔に戻った花流は
柊が女の子を連れ出すなんて前代未聞だと呟いた
「なんで?」
「アイツらモテるからさ、わざわざ自分で誘わなくてもいくらでも付いてくるだろ」
「ふーん」
「それに、3人の中で一番無愛想で自分からアクション起こすことなかったんだ」
あんなに強引だったのに・・・
それに・・・
声を掛けてきた萊夢は柊が声を掛けろって言ったって口走った気が・・・
「俺が花乃を抱き抱えたら『花流の何なんだ』って何度も詰め寄ってきたからな」
「言ったの?」
「いや、言わない!てか言うわけない」
「良かった」
「花乃は俺が守るから・・・」
「うん」
弟なのにこんな時は頼りになる花流
「グッスリ寝て忘れろ」
「うん」
寝るまで居てやるとベッドサイドに座った花流と手を繋いで目を閉じた