憧れのアナタと大嫌いなアイツ
握ってくれた手は温かくて心地良いのに
どうしても眠れなくて
ベッドにもたれて座る花流と何度も目が合う
「眠れないのか」
反対の手で頰を撫でられても
それが離れると不安な気持ちが頭を擡げる
少しの表情の変化に気付く花流は
「今日だけな」
スッと立ち上がって布団を捲ると入ってきて
“ほら”と両手を広げた
本当は高校生にもなって・・・とか
姉弟なのに・・・とか
頭を過る想いはあったけれど
それを口に出して言いたくない程
今日の出来事に囚われていた
「ありがとう花流」
「ん」
素っ気ない返事だけど
抱きしめてくれた胸の中は温かくて
いつからこんなに大きくなったんだろう
あんなに小さかったのに・・・
規則正しい鼓動を聞きながら
いつしか眠りに落ちていった
・・・・・・
・・・
・
翌日
朝目覚めると隣に寝ていたはずの花流は既にいなくて
朝ごはんよってママに呼ばれたけれど
ソファに座るパパにも昨日の話を聞かれることはなくて
花流が気を利かせてくれたんだろうって嬉しくなった
一晩寝てスッカリ忘れた気分になっていた私を現実に引き戻したのは
麻美と乗った電車の中だった
通勤ラッシュで混み合う車内
いつもは気にならないのにサラリーマンが正面に立っただけで怖い
「花乃?どうしたの?」
どんどん青白くなる顔を心配して覗き込んだ麻美の顔がボンヤリと消えた
どうしても眠れなくて
ベッドにもたれて座る花流と何度も目が合う
「眠れないのか」
反対の手で頰を撫でられても
それが離れると不安な気持ちが頭を擡げる
少しの表情の変化に気付く花流は
「今日だけな」
スッと立ち上がって布団を捲ると入ってきて
“ほら”と両手を広げた
本当は高校生にもなって・・・とか
姉弟なのに・・・とか
頭を過る想いはあったけれど
それを口に出して言いたくない程
今日の出来事に囚われていた
「ありがとう花流」
「ん」
素っ気ない返事だけど
抱きしめてくれた胸の中は温かくて
いつからこんなに大きくなったんだろう
あんなに小さかったのに・・・
規則正しい鼓動を聞きながら
いつしか眠りに落ちていった
・・・・・・
・・・
・
翌日
朝目覚めると隣に寝ていたはずの花流は既にいなくて
朝ごはんよってママに呼ばれたけれど
ソファに座るパパにも昨日の話を聞かれることはなくて
花流が気を利かせてくれたんだろうって嬉しくなった
一晩寝てスッカリ忘れた気分になっていた私を現実に引き戻したのは
麻美と乗った電車の中だった
通勤ラッシュで混み合う車内
いつもは気にならないのにサラリーマンが正面に立っただけで怖い
「花乃?どうしたの?」
どんどん青白くなる顔を心配して覗き込んだ麻美の顔がボンヤリと消えた