憧れのアナタと大嫌いなアイツ

覚悟しとけよ

・・・・・・
・・・



「小柳さん、受付にお客様がお見えです」


お昼休憩まであと15分ってところで鳴った受付嬢からの内線に

ーーアポあったかな?ーー

タブレットのスケジュールを開いても今日の予約は特に無くて

記憶違いかと不安になり慌ててフロアを飛び出した

エレベーターに乗ると奥にある鏡で髪を整え背筋を伸ばす

首から下がる名札を伸ばして
光るランプを見つめた

一階に到着すると受付嬢の戸井田さんが“あちら”とサッと手を前方へ向けた

短時間の商談や待ち合わせの場所として使うことの多いロビーに設けられたソファ席は3つ

その一番手前にこちらに背を向けて座る男性が見えた

ーー誰だろうーー

スーツを着る人物を思い浮かべながら
直ぐ傍に立つと丁寧にお辞儀をした

「お待たせしました。企画室小柳です」

「おぅ」

そう言ってこちらを向いた男性と視線が合った瞬間に全身が固まった

「さて、行くか」

「・・・っ、あ、あ、あの」

サッと立ち上がった“長谷川柊”は
ニヤリ不敵に微笑むと
7年前のようにガシッと腕を掴んで
スタスタと歩き出した


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