憧れのアナタと大嫌いなアイツ

フカフカのフロア絨毯にヒールの踵を取られそうになりながらも

エレベーターまで肩で風を切るように進むと
下向きのボタンを連打する

ーー早く、早くーー

あれだけ言ったのだから追いかけては来ないはずだけど
同じフロアに居るというだけで落ち着かない

ベルの音が響いて扉が開くとサッと中へ入って一階のボタンを押すと同時に閉まるボタンをこれまた連打する

ーー早く閉まってーー

ゆっくり閉じ始めた扉の先にこちらへ走ってくるアイツが見えた

ーー早くーー

宛らゲーマーになったかのように連打する必死な私と

長い足で走ってきて扉が完全に閉まる寸前で手を隙間に挟んだアイツ






軍配は・・・






どうしてこうなんだろう・・・






高級なホテルのエレベーターのセンサーは虫にも反応するの?って程の恨めしさ

数センチの指先に反応して即座に開いた扉の前

呆然となる私を見て
したり顔で笑うアイツがいた


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