憧れのアナタと大嫌いなアイツ
甘い
・・・・・・
・・・
・
あれから・・・
ルームサービスの料理が届くまで寝かされていた私
至れり尽くせりのホテルの部屋の中での
二人っきりは不思議と嫌ではなかった
頭を撫でてくれる手も
笑いかけてくれる漆黒の瞳も
耳に心地よく響く声も
感情を乱してばかりでなんだか凹む
私の7年間って・・・
なんだったの?
柊の所為で怖かった男性との距離
柊の所為で恋も出来なかった
柊の所為で作れなかった彼氏
柊の所為で辛かった満員電車と満員のエレベーター
柊の所為で・・・
頭の中を支配する黒歴史を浮かべていると
「花乃」
低く甘い声が降った
「ん?」
「デザート・・・もう届く」
「あ、うん」
テーブルの上に広げられていた料理が片付けられると
デザートとコーヒーが運ばれてきた
「終わったら送ってく」
「うん」
言葉を発する毎に微笑む柊の顔を見るたびに
胸がトクトクと騒つく
ーー怖いのかなーー
そんな風に解釈してしまうのは
長いことトラウマに囚われていた所為なのかもしれないと
芽生えた気持ちが何なのか考えないように無理矢理誤魔化した