憧れのアナタと大嫌いなアイツ

甘い




・・・・・・
・・・






あれから・・・
ルームサービスの料理が届くまで寝かされていた私

至れり尽くせりのホテルの部屋の中での
二人っきりは不思議と嫌ではなかった

頭を撫でてくれる手も
笑いかけてくれる漆黒の瞳も
耳に心地よく響く声も


感情を乱してばかりでなんだか凹む

私の7年間って・・・
なんだったの?


柊の所為で怖かった男性との距離

柊の所為で恋も出来なかった

柊の所為で作れなかった彼氏

柊の所為で辛かった満員電車と満員のエレベーター

柊の所為で・・・


頭の中を支配する黒歴史を浮かべていると

「花乃」

低く甘い声が降った

「ん?」

「デザート・・・もう届く」

「あ、うん」

テーブルの上に広げられていた料理が片付けられると

デザートとコーヒーが運ばれてきた

「終わったら送ってく」

「うん」

言葉を発する毎に微笑む柊の顔を見るたびに
胸がトクトクと騒つく

ーー怖いのかなーー

そんな風に解釈してしまうのは
長いことトラウマに囚われていた所為なのかもしれないと

芽生えた気持ちが何なのか考えないように無理矢理誤魔化した



















< 74 / 111 >

この作品をシェア

pagetop