憧れのアナタと大嫌いなアイツ
一瞬で真っ赤になったであろう頬が熱い


「花乃ちゃん、こっち」


開けた視界の先に立っていた藤堂室長が手を差し伸べてきた

仕事中に下の名前呼びをするのは意外で驚いて目を見開いて
更に手を差し出したってことは手を繋ぐということ?疑問符だらけで首を傾けた

戸惑う私のすぐ目の前までやってきた藤堂室長と

その間を遮断するように手で制した柊は

「おや、ウエンディは上司が部下を下の名前で呼ぶとか手を繋ごうとするとかアリの会社?」

そう言って藤堂室長へ向けられた柊の視線はどう見ても喧嘩腰で違う意味で鼓動が早くなる

「あ、いえ。小柳は入社以前からの知り合いでして・・・油断すると名前呼びをしてしまうことがあるんです。でも、社会人として失格ですね」

これでもかというくらい営業スマイルを貼り付けた藤堂室長の答えに

ククっと喉を鳴らして笑った柊は

「模範的な答えだな」

そう言うと藤堂室長へと視線を向けた

それに返すように視線を合わせる室長

一触即発?そんな言葉が頭を駆け巡った

色気ダダ漏れの2人が睨み合ってる隣で
それを見上げてオロオロする私

嫌な雰囲気を変えたのは

「お茶が入りましたよ」

やはり・・・お母様だった




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