憧れのアナタと大嫌いなアイツ


とても香りの良いコーヒーとお土産の白鐘堂のチーズケーキが並べられたテーブル

長谷川流と向かい合って座ると


「そういえば、CMになっていたわね」

“はい”とお母様の指摘を受けて、今回のソルテのオープンに合わせて大々的に宣伝されていることを詳しく説明するのは藤堂室長


「それにしても一組限定ってどうなの?」


華道家が演出するプランは料金が割高なことも限定の要因の一つだけれど、なにより家元本人から“一回しかやらない”と念押しされた為に応募者多数なら抽選になる


「家元、花が良い時季だから一組と言わずに受けて差し上げたら?」


お母様がチラリと柊に視線を移すのに合わせるように
もちろんウェンディ側の4人も縋るような視線を向ける

その視線に気づいているはずなのに
優雅にコーヒーカップを口元に運んだ柊は
薄い微笑みを浮かべているだけ

絵になるけど・・・質問の答えも聞きたい
そんな想いは届くことなく
柊は最後まで声を発することはなかった





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