憧れのアナタと大嫌いなアイツ
迎賓館のホール全てのセッティングを終えると花流がスマホで写真を撮っていた


「普通卓上花以外はフェイクなのに全て生花で注文するなんて素敵だよね」


花流の隣に立ってシャッター音がするたびにスマホを覗き込む


「不動産屋の娘らしいよ」

「へぇ」


ピンクをメインにしたアレンジの依頼だったから花嫁さんは可愛らしい人に違いない

私なら・・・

そんな空想を混ぜながら床に散らばる切り落としの葉を集めて回った


「それにしても親父どこ行ったんだろ」


片付けも終わり担当者のチェックを待っているだけなのに肝心の父の姿がないことに花流がキョロキョロするのを見て


「ごめん花流!私のせい」


顔の前でパチンと両手を合わせると片目を閉じた


「え?」

「だって〜このまま帰るわけにいかないじゃん?だからパパにお願いしたの」


「もしかして・・・」

「そ、そのもしかして」


ニッコリ微笑むと目の前の花流は呆れたと言わんばかりに両手を広げた



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