憧れのアナタと大嫌いなアイツ
蜜のように甘い口付けが終わると
抱きしめられて腕の中にいた
背中に回された手がトントンと心地よいリズムを生み出して
心ごと絆されてゆく
「いい加減連絡しないとな」
漸く二人の間に隙間が出来た
その隙間が切なくて名残惜しい
「そんな顔すんな」
優しく髪を梳く手が頰に移動して
視線を合わせる
「帰したくねぇ」
まだ濡れた唇が動く様子に見とれてしまう
「でも、我儘言わねぇから連絡しろ」
相変わらずの俺様口調に笑ってしまいそうになりながら
ハンドバッグの中からスマホを取り出すと母にラインを送った
【遅くなるから晩御飯不要です】
いつも通りのメッセージなのに
何故かドキドキする
「さあ、飲んだら出かけよう」
柊はサッと立ち上がり羽織をぬぐと
帯に手を掛けシュルッと解いた
「え?・・・キャッ!」
目の前で下着一枚になった柊
男の人の身体なんて花流以外見たことなくて
慌てて両手で顔を隠した
「は、早く何か着て!」
焦る私を面白がるようにハハッと笑いながら何でもないことのように着替えを済ませた柊
細身のパンツとジャケットを合わせただけのカジュアルな格好も
さっきまでの和装とのギャップで眩しい程カッコ良くて
また胸がトクンと騒いだ