憧れのアナタと大嫌いなアイツ

「一つ間違ってるのは【干物女】ってとこよね!だって花乃は恋愛は置いといても女を放棄してる訳でも親父化してる訳でもないでしょ?」


どうやら麻美は【干物女】というキーワードにポイントを絞ったらしく
スマホ片手にネット検索で出てきた答えと私を比べる

「そういう意味なのね、てっきり干からびてるって意味だけだと思ってた」

感心したように頷いてみせる

「その意味も含むわよっ」

そう言うとまた笑い出した

「でも、その干物を作り上げたのは他ならぬ家元でしょ?」

「うん」

「だから・・・」

麻美の答えが想像できる
だから
「責任なんて取らなくていい!」

「え?」

「責任で付き合うの?そんなに私って可哀想なの?」

「いや、誰もそんなこと言ってないよ、責任より愛でしょ?」

間違いなく【責任】に囚われているのは私のほう
過敏になり過ぎだと言われればそれまでだけれど

男性と距離を置くようになった原因は柊にある
でも、エスカレーター式の女子校に通ってるからあんなに攻めてこられると怖いに決まってる

だから・・・
私がこうなったのは至極当然の事

たまたま
キッカケが柊だっただけ

ただ・・・
それだけのこと

だから・・・
普通に・・・柊と恋がしたい


燻っていた想いがストンと胸に落ちてきた

< 96 / 111 >

この作品をシェア

pagetop