先生と私の見えない赤い糸
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「こうやって三木先生の記事を読んでいたら、ニュースで言ってることがなんとなくに理解できちゃうんだよね。すごいなぁ」
基本的には大体週一のペースで指導をおこなっていたが、いつの間にか僕の記事に目を通すことが、安藤の日課になってしまった。見せたわけじゃなく勝手に見て、意見を言ってる状態。
僕自身もコイツから直接意見を聞くことできるのが、正直なところ楽しくてしょうがない。しかしながら相変わらず、すごいしか言ってくれないのが本当は寂しい。指導の成果がちっとも出ないのは、僕の教え方が悪いからだろうか?
「主人公の目に映る景色だけじゃなく、肌に感じる日差しや温度、風の匂いや空気感。五感だけでも、いろいろ書くことがあるだろう? 頭で感じるんじゃなく、心に感じたままを書いていくんだ」
かなりわかりやすく説明しているのにも関わらず、安藤は抽象的な返答しかしてくれない。
どうやったらうまく、僕の伝えたいことがコイツに伝わるだろうか。伝わったらきっと書くのが面白くて、しょうがなくなるはずなのにな。
書く喜びをもっと教えてやりたい。奈美の笑顔を、もっと見たいと思ったから――。
「こうやって三木先生の記事を読んでいたら、ニュースで言ってることがなんとなくに理解できちゃうんだよね。すごいなぁ」
基本的には大体週一のペースで指導をおこなっていたが、いつの間にか僕の記事に目を通すことが、安藤の日課になってしまった。見せたわけじゃなく勝手に見て、意見を言ってる状態。
僕自身もコイツから直接意見を聞くことできるのが、正直なところ楽しくてしょうがない。しかしながら相変わらず、すごいしか言ってくれないのが本当は寂しい。指導の成果がちっとも出ないのは、僕の教え方が悪いからだろうか?
「主人公の目に映る景色だけじゃなく、肌に感じる日差しや温度、風の匂いや空気感。五感だけでも、いろいろ書くことがあるだろう? 頭で感じるんじゃなく、心に感じたままを書いていくんだ」
かなりわかりやすく説明しているのにも関わらず、安藤は抽象的な返答しかしてくれない。
どうやったらうまく、僕の伝えたいことがコイツに伝わるだろうか。伝わったらきっと書くのが面白くて、しょうがなくなるはずなのにな。
書く喜びをもっと教えてやりたい。奈美の笑顔を、もっと見たいと思ったから――。