冬至りなば君遠からじ
僕はひとまず若松神社に行ってみた。
先輩はいなかった。
昨日二人で遊んだブランコの写真を撮ってスマホで送信してみた。
ブランコに座って待っていると、スマホが震えた。
写真だ。
糸原の住宅街の中に若松神社の楠が突き出ている風景だ。
笹山公園からの景色のようだった。
僕は走った。
線路を渡って食パンマンションの前を通り、糸原駅南口ロータリーを突っ切って緩いカーブの坂を駆け上がった。
落ち葉を蹴散らしながら石段を一段飛ばしで駆け上がる。
さすがに息が荒くなる。
山の上の広場に出て、膝に手をついて息を整えながら辺りを見回す。
先輩はどこだ。
「ここにいる」
制服姿の先輩が展望台のコンクリート階段に座っていた。
僕を呼んでいる。
「私はここにいる」
呼んだと言うよりは単純に事実を宣言したといった方がいい感じだ。
僕は肩で大きく息をしながら右手をあげた。
「こんにちは。今日はこっちだったんですね」
「今日はこっちとは?」
「昨日、若松神社でブランコに乗ったじゃないですか」
「そうか」
変な感じだ。
全然会話が成立しない。
「先輩、昨日ブランコに乗ってるときに、急にどこに行っちゃったんですか」
「どこにも行ってない」
「え、だって僕がブランコから飛んで振り向いたらもういなかったじゃないですか」
「だからどこにも行ってない。そこにいたんだろう」
何を言ってるんだろう。
やっぱり相当変わってる人だ。
「おまえに見えなかっただけだろう」
「消えたってことですか?」
「そうだ」
「まさか、幽霊じゃあるまいし」
僕の言葉に先輩がうなずいた。
「その通りだ」
え?
「私は昼間しか存在できない幽霊だ」
先輩はいなかった。
昨日二人で遊んだブランコの写真を撮ってスマホで送信してみた。
ブランコに座って待っていると、スマホが震えた。
写真だ。
糸原の住宅街の中に若松神社の楠が突き出ている風景だ。
笹山公園からの景色のようだった。
僕は走った。
線路を渡って食パンマンションの前を通り、糸原駅南口ロータリーを突っ切って緩いカーブの坂を駆け上がった。
落ち葉を蹴散らしながら石段を一段飛ばしで駆け上がる。
さすがに息が荒くなる。
山の上の広場に出て、膝に手をついて息を整えながら辺りを見回す。
先輩はどこだ。
「ここにいる」
制服姿の先輩が展望台のコンクリート階段に座っていた。
僕を呼んでいる。
「私はここにいる」
呼んだと言うよりは単純に事実を宣言したといった方がいい感じだ。
僕は肩で大きく息をしながら右手をあげた。
「こんにちは。今日はこっちだったんですね」
「今日はこっちとは?」
「昨日、若松神社でブランコに乗ったじゃないですか」
「そうか」
変な感じだ。
全然会話が成立しない。
「先輩、昨日ブランコに乗ってるときに、急にどこに行っちゃったんですか」
「どこにも行ってない」
「え、だって僕がブランコから飛んで振り向いたらもういなかったじゃないですか」
「だからどこにも行ってない。そこにいたんだろう」
何を言ってるんだろう。
やっぱり相当変わってる人だ。
「おまえに見えなかっただけだろう」
「消えたってことですか?」
「そうだ」
「まさか、幽霊じゃあるまいし」
僕の言葉に先輩がうなずいた。
「その通りだ」
え?
「私は昼間しか存在できない幽霊だ」