儚い絆
いち


「じゃ、行ってくる。」

「うん、体には気をつけてね。」

  の·····言葉を最後に
出国ゲートへ向かい
入る前に、手だけを上げて
消えていったのが・・・・一年前。






出国当初は、スカイプで
テレビ電話をしたり、
メールも、ラインも頻繁に。

その上、半年に一度は、
彼・相楽 柊弥(さがら とうや)
が帰国をしてくれた。

 それも私の誕生日とお正月に。


彼は、
ニューヨークへ行って
言葉にも、ニューヨークの人達にも
徐々になれはじめ
仕事の方でも頭角を表しはじめた。

元より仕事ができる人で
22才で会社に入り
わずか三年で実績を上げ
25才で係長となった。

今回も社運をかけた事業だから
彼が陣頭式をとって
ニューヨークに
行くことになったぐらいだ。


私こと
青山 叶愛(あおやま かれん)は、
大学を卒業して同会社へ入社。

総務課に配属され
  毎日奮闘の日々・・

その時、総務の先輩方に
飲み会に誘われて参加した席に
相楽さんもいた。

その時は
話しをすることもなかったが
次の日に社内で
突然、相楽さんから
食事に誘われた。

なぜ、私を?
と、思ったけど
私の口は、
「はい。」
と、答えてしまっていた。
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