儚い絆
あくまでも向こうでの
女性については、
話そうとは思わずに、
私を責めるんだ。
「やはり、話しても無駄です。
考え方が違います。
相楽さんは、もっと理解力のある方が
宜しいと思います。
それでは、お邪魔しました。」
と、立ち上がると
「嫌みを言ったつもりはないんだ。
連絡をしなくて良いとは
決して思ってはいない。
俺だって、叶愛に会いたかった。
誕生日に連絡しなかったことは
本当に申し訳なかった。
だが、どうしても一度は
帰国したかったから
仕事に追い込みをかけていたんだ。
結局、年末も一日しか
戻れなかったが。」
ドアに向かっていた私は
立ち止まり
「忙しいのは、一度来たメールで
わかります。
ですが、一秒、二秒でも
手を休める暇はなかったのかと
長い文章で連絡してほしい・・
いや、もういいです。
どうせ水掛け論ですから」
「叶愛の声を聞いたら会いたくなる
顔をみたら、離せなくなる
だから、電話もしなかったし
叶愛の『私がいく?』の言葉も
ああやって返した。
だが、俺は自分の事しか
考えてなかったんだな」
「‥‥ウソツキ‥‥」
「なに?なんと言った?」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「かれん!もう一度言ってくれ」
「‥‥電話もラインもメールも
なくなって時一度だけ
一度だけ勇気を振り絞り
電話をしたことがありました。
その時、出たのは
あなたではなかった。
女性の方であなたは寝ていると
後で連絡させましょうか
と、言われました。
ああ、この人は
一緒にいれるんだ。
ああ、この人がいるから、
私には
もう用はないのだと
わかりました。
・・隠さなくても良いのに。」
「・・・それは・・」
「だからっ、もう良いと言ってます。
そんなつもりだったから
転勤が決まっても
私には何も言われなかったんだと
やっとわかったのが
その時でしたから。」