儚い絆

土曜日に待合せ場所に行くと
彼は、私服で椅子に座り本を
読んでいた。

私は彼の前に立ち
「どういうつもりですか?」
と、言うと。
「開口一番がそれか?
どういうつもりも
こういうつもりもない
俺は、この話を進めたいと
思っただけだが。」
「だから、それが
どういうつもりなのか
と、訊ねています。」
「まあ、座れ。
お前、目立ってるぞ。」
と、言われて回りをみると
チラチラと見ている人達から
目をそらされて
はっ、恥ずかしい!
椅子に座るが落ち着かずにいると
「出るぞ。」
と、言われた。

彼が、支払いをしている間に
私は先に店を出た。
それから少し冷静になろうと
歩き始めた。

すると·····

突然腕をとられ
「すまない。
ちゃんと話がしたかったんだ。
あのままで終わらせたくなかった。
お前の連絡先知らないし
ああするしかなかった。
だが、それだけじゃない
話を進めて欲しかったのは事実だ。」

私が怒って帰るとでも
思ったのか、彼が少し必死に
話すのがおかしくて
クスッと笑うと
彼は、話をやめて私を見た。
「あっ、ごめんなさい。
私、怒ってたわけではなく
気持ちを落ち着かせるために」
と、言うと
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