殿堂入りの君は、俺のもの
 吉村はやはり本から目を逸らさずに言った。その冷たい仕打ちを少し快感に思いながらも(やっぱり変態なのか俺)、俺はこう答えた。

「吉村のことが。俺と付き合わない?」

 今度ははっきりと言えた。お、いいんじゃない俺。かっこいいんじゃない。

 すると吉村は、もちろん本から顔は上げずに、こう言った。

「いいけど」

 ――もうちょっと反応してもいいんじゃないのー……。告白してるんだよ、俺。しかも“いいけど”って……。ん、“いいけど”……?

「いいんですかああああああ!!!!????」

 俺はここがどこだかも忘れ、絶叫した。すると本を読んでいた美沙が俺の方を向き、眉間にしわを寄せる。そして、“図書室ではお静かに”という張り紙の方を指差した。

「うるさいよあんた」

「あ、ごめ……」

 途惑いながら謝る俺に、吉村は冷たくそう言うと、再び本を読み始めた。
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